合併症について

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合併症について

心不全

心不全は透析患者さんの死因で最も多く、重要な合併症です。
心臓は血液を全身送り届けるポンプの役割をしています。何かしらの理由で、そのポンプが十分に働かなくなる状態のことを心不全といいます。
体重の増加が多かったり、血圧の管理が悪かったりすると、心臓への負担が大きくなり、それが続くと徐々に心臓の機能が低下してしまいます。心不全になると、体がむくんだり、息が切れたり、呼吸困難という症状が出現します。ひどい場合には、命にかかわることがあります。
これを予防するためには、水分・塩分管理を中心にした食事療法により、透析間の体重の増加を少なくして、血圧管理をしっかりとする必要があります。

感染症

心不全に次いで厄介なのが感染症です。
透析患者さんは、細菌やウイルスに対する抵抗力が落ちており、健康な方に比べて感染症にかかりやすくなっています。また、透析患者さんは感染症の症状が出にくい、気づきにくいことがあります。
肺炎などになってしまっても、高い熱が出ずだるいだけということがあります。軽い風邪と見過ごされてしまうことも少なくないようです。
予防のために、手洗いを習慣づけ(特にシャント血管のある腕はいつも清潔に保ちましょう。)、十分な栄養と睡眠をとり、十分な透析を行うようにしましょう。
重症化を防ぐために、少しの変化でも、担当の医師やスタッフに相談することをお勧めします。

不均衡症候群

透析をはじめたばかりの患者さんにでやすい合併症です。
透析をすると、それまで血液や細胞の中にたまっていた老廃物や水分が体の外に取り除かれてきれいになります。そのきれいになるスピードが速すぎると、体の中のバランスが崩れてしまい、頭痛や血圧低下、こむらがえりなどの症状がでてしまうのです。
透析をはじめて開始される方には、3時間くらいの短時間の透析を行い、からだを慣らしていくことで予防できます。
また、透析を開始されてしばらく経つ患者さんでこのような症状が出る方は、塩分と水分の摂り方に気をつけて体重増加を極力抑えて予防しましょう。

貧血

貧血は心不全の悪化につながる重要な病態であり、しっかり治療していく必要があります。
全身を巡る血液は骨(骨髄)から作られます。赤血球の製造を担当するのが腎臓で、血が薄くなると「エリスロポエチン」という造血ホルモンを出して骨髄に赤血球の製造を促します。
透析患者さんは、腎臓の機能が落ちてしまっているために、十分な造血ホルモンを出すことが出来ません。
現在は、造血ホルモンを人工的に生成することが出来るようになり、注射薬として使用されています。鉄分が不足している場合は、鉄剤を併用されることもあります。

骨病変

長期間透析を受けてこられた患者さんは徐々に骨がもろくなります。
また、関節や骨の痛みに苦しんでしまうことが多いようです。

カルシウムやリンをはじめとしたミネラルの異常が骨の病変を引き起こし、血管などの全身の石灰化に至り、長期透析患者さんの寿命に影響を及ぼすといわれています。
食事で摂ったカルシウムなどのミネラルは小腸で吸収され、骨に蓄えられます。腎臓はビタミンDを活性化して、カルシウムの吸収を手助けする役割があります。しかし、腎臓がうまく働かないとビタミンDが活性化されず、カルシウム濃度が下がってしまいます。すると、司令塔である副甲状腺のホルモン(PTH)分泌が活発になり、低下したカルシウム濃度を上げるために、骨に蓄えられたカルシウムが動員されます。
このような状態が長く続いてきた透析患者さんは徐々に骨がもろくなり、また、関節や骨の痛みが出てきてしまいます。定期的な血液検査を行いビタミンD製剤やカルシウム製剤の調節を行いながら、十分な透析を受けることにより体のバランスを図っていきます。

透析アミロイドーシス

長期透析患者さん特有の合併症です。
透析期間が長くなると、血液透析では十分に除去することが出来ない「β2ミクログロブリン」といわれるタンパク質の濃度が高くなってしまいます。
このタンパク質から形成される「アミロイド」という物質が全身の骨や関節、内臓にくっついて悪さをするのです。手首に「アミロイド」が沢山くっつくと、神経を圧迫して手の親指から薬指にかけて痛みやしびれをきたす「手根管症候群」を惹き起こします。
きれいな透析液での十分な透析や血液透析濾過などで進行を食い止めることが出来るといわれています。


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